次亜塩素酸水の種類と違いについての解説動画です。動画内で使われたスライドのPDFはこちら

「次亜塩素酸水」の定義と種類

この1年間くらいで一気に有名になった次亜塩素酸水ですが、「食品添加物」や「特定農薬」として使われているから安全らしい、と考えてお使いの方もいるかもしれません。あるいは様々なサイトで、様々なメーカーが販売しており、商品選びに混乱したことはないでしょうか。

 

このように「次亜塩素酸水」選びを難しくしているのは、実は「次亜塩素酸水」という言葉に複数の意味があるからなんです!

つまり私が言う「次亜塩素酸水」と、皆様が考える「次亜塩素酸水」が違うものを指している可能性もある、ということです。

このような状況について経済産業省は「『次亜塩素酸水』は多義的である」とし、1つの言葉が複数の意味を持ってしまっていることに注意を喚起しています。

 

そこで本動画では、「次亜塩素酸水」や「酸性電解水」、「酸性次亜水」、「電解型次亜塩素酸水」等の似たような名称をきっちり分類し、

現在乱立している「次亜塩素酸水」の種類と違いをすっきり分かるように解説していきます!

 

 

「次亜塩素酸水」の全体図

pHによる分類や電気分解の有無による分類、あるいは塩素濃度による分類等をすべて1枚にまとめたチャートがこちらです。

 

多義的な「次亜塩素酸水」という言葉について、以下の3つの意味で分類をしています。

最広義の「次亜塩素酸水」 塩素が溶けた水すべて。水道水もここに含まれる
広義の「次亜塩素酸水」 塩素が溶けた水のうち、pHが酸性のもの
狭義の「次亜塩素酸水」 pHが酸性で、電気分解によりつくられ、その製法がJIS準拠のもの

 

最広義の次亜塩素酸水には一般家庭の水道水も含まれるため、新規性はまるでありません。

(水道局が配水する水道水には残留塩素が含まれているので、広い意味で「次亜塩素酸水」になります)

 

近年ネット通販等で注目されている「次亜塩素酸水」は“広義の次亜塩素酸水”を指すことが多いようです。ここで注意すべき点としては、“広義の次亜塩素酸水”は、食品添加物として認可されているわけではないということです。

つまり、酸性の次亜塩素酸水ならすべて食品添加物として認められていて口に入れても安全だ、という解釈をしないように注意してください。

 

食品添加物や、特定農薬として食べ物に使用して良い次亜塩素酸水は、食品衛生法およびJIS規格によって厳格に原料や製法が定められています!

 

ちなみになぜ塩素を溶かした水のうち、pHが酸性だと商品アピール力が高いのかというと、

塩素を溶かした後の水が酸性だと「次亜塩素酸」が、

アルカリ性(塩基性)だと「次亜塩素酸イオン」という物質が生成されるためです。

語尾に「~イオン」という文字があるかないかだけの違いですが、「~イオン」がない方、つまり「次亜塩素酸」の方が「次亜塩素酸イオン」よりも消毒力が強いことが知られているため、近年は酸性の次亜塩素酸水がウイルス対策等で注目されているのです。

 

このあたりの科学的な解説は別動画の『塩素の種類』にて詳しく解説しています!

 

そもそも「次亜塩素酸」とは何!?

化学になじみのない方には非常に紛らわしい話なのですが、

化学用語ではしばしば同じ漢字を使って意味が違う、ということがあります。

今回もその例であり、「次亜塩素酸」の「酸」という漢字は「酸素」のであり、「酸性-アルカリ性」のとは直接関係はありません。

つまり「次亜塩素酸」とは、

”塩素に酸素がくっついた状態”くらいのイメージを持っていただき、

酸性の塩素”とは考えない方が正しい理解に近づきます!

塩素は常温ではガス(気体)で存在する物質であり、これをどうにか水に溶かすと、

「次亜塩素酸」と呼ばれる物質に変化します。

つまり塩素が溶けた水はすべて「次亜塩素酸水」となるため、

水道水もキッチンハイターもカルキを溶かした水もすべて「次亜塩素酸水」となります。

 

食品添加物(特定農薬)としての次亜塩素酸水とは?

食品添加物や農薬として直接食べ物に使われ、万が一口に入れても毒性は高くない次亜塩素酸水は、「JIS B 8701 次亜塩素酸水生成装置の規格基準」において厳密に定義付けられています。

たとえば原料は塩化ナトリウム(つまり食塩)を使うことだったり、

製法は電気分解を用いて衛生的に作ることだったり、

使う器具類の材質等にも基準が設けられています。

 

お手元の「次亜塩素酸水」はどの“次亜塩素酸水”なのかを調べる場合や、

これから通販等で買う場合、どの種類を買うか悩んでいらっしゃる方はぜひ動画をご覧になってその違いをすっきりさせてください!