知っているようで意外と知らない、各種法律の名称の違いを分かりやすく解説しています!
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法律の学習をしていると目にする、各種法規類。
「○○法」について調べていると、「詳細は政令へ」とか「詳細は省令へ」と書かれてはいるものの、その政令や省令の具体的名称は法律内に書かれていません。
また省令を調べてみると、「○○法施行規則」だったり「〇×に関する省令」だったり、名称もまちまちです。
そこで本講義では、
・法体系の流れ
・各種法規の名称の違い
を解説し、
食品衛生法を使って具体的に法律の読み方を学習していきます。
法律系資格の学習をしている方や、仕事で法律や環境基準を調べなければならない方々のお役に立てれば幸いです。
1.法体系の全体図
結論から先に言うと、法律の名称の違いは、作った機関によって異なります。
また憲法を頂点に、法律にはどっちが上か、どっちが優先かといった上下関係があります。
法律を作る機関、すなわち立法機関は、
国民による立法と行政による立法の2つに分かれています。
国民による立法の場合は、立法機関は「○○議会」と呼ばれ、各地域で選ばれた議員さんたちが、国民を代表して法律を作っています。
行政による立法の場合は、立法機関は内閣や各省庁となり、国民への影響の強さに応じて「法規命令」と「行政規則」に2分されています。
たとえば政令は内閣(つまり大臣の合議体)が作るため、省令より偉くなり、
法律は国会で作るので、地方議会で作られる条例よりも偉くなります。
2.国民による立法と行政立法の関係
日本は国民主権の国家なので、国民が作る法律が上位に位置し、その法律の詳細を決めるために内閣や各省庁が政令や省令で補足を行います。
このとき、内閣が定めた法律の補足は「政令」、各省が定めた法律の補足は「省令」となります。さらに手続き上の決まりや行政機関内での取り決めを定めたものが「行政規則」と呼ばれ、詳細を定めています。
3.「○○法施行令」と「××に関する政令」の違い
一言に「政令」と言っても、その具体的名称は「○○法施行令」だったり、「××に関する政令」であったりします。
行政規則はあくまで“行政が独自に定める法律の補足”であり、国民による立法とは異なります。このため、行政規則は内閣法制局を通さず、その名称の付け方も内閣や各省が自由に決められます。
ではいったい同じ法律にぶら下がる同じ「政令」でありながら、「○○法施行令」と「××に関する政令」の違いはどこにあるのでしょう⁉
答えは、どっちがメインの政令か⁉ によります。
つまり、○○法の補足を行うためにメインで使われる政令が「○○法施行令」となり、
○○法の中の××条に関する詳細をピンポイントで補足する場合、「××に関する政令」となります。
これは省令の「○○法施行規則」と「××に関する省令」でも同じ構造です。
4.「告示」の重要性
最後に、行政立法の中でも「法規命令」と比べ、国民への直接的な影響が少ないとされる「行政規則」の説明を行います。
中でも注意が必要なのが「告示」で、本来は“行政庁が決定した事項を公式に知らせるため官報に掲載したもの”であり、単なるお知らせ相当なのですが、
法律に告示の根拠がある場合は、政省令の様に国民を拘束する効果を持つことがあります。
講義では具体的に厚生省告示第370号:食品、添加物等の規格基準を例にその効果を解説しています。