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「食中毒とは!?」全3回講義の3回目、『食中毒対策とその注意点』です。

 

1.食中毒予防3原則

厚生労働省が提唱する食中毒予防3原則は、

「付けない」「増やさない」「やっつける」

ですが、もともと器具や食品にくっついていなければ、増えないし、やっつけることもありません。

それでは微生物を物理的に取り除いたり、付着しないようにすることはできるのでしょうか!?

講義ではそのサイズ感について詳細に解説しています。

 

2.細菌・ウイルスの大きさ(サイズ感)

「微生物」とは、文字通り「微細なサイズの生き物」ということですが、実際にはどれくらい小さいのでしょうか。

身近な例で比較すると、ヒトの髪の毛の断面直径がおよそ0.1㎜ = 1µm(マイクロメートル)です。

「μm」は「㎜」の1つ下の単位で、1 µmは1 ㎜の1000分の1となります。

細菌の大きさはおよそ4 μmなので、髪の毛の断面のおよそ25分の1の大きさとなります!

そしてウイルスはおよそ10 nm(ナノメートル)。

「nm」は「μm」の1つ下の単位で、1 nmは1 μmの1000分の1となります。

計算するとウイルスは、髪の毛断面を25分の1にしたサイズをさらに400分の1にした大きさとなります!

ここまで小さいとピンセットで掴めないのはもちろん、ウェットティッシュで机を拭いたとしても、小さな傷の隙間に入り込んでいたら取り除けないサイズですね。

 

3.微生物対策について

あまりにも小さな微生物対策、いったいどうすれば良いのでしょうか。

厚労省の予防3原則とリンクしながら考えていくとまず、

①付けない

→ 新鮮な食材を使うことがとにかく重要です。

第2回の講義で説明したように、新鮮な食材にもすでに細菌が付着していることは事実ですが、

新鮮であれば相対的に付着量は少なく、古くなればなるほど食材の上で増殖し、健康リスクが高まるわけです。

②増やさない

→ 手洗い、消毒で清潔に作業することが重要です。

微生物はその小ささ故、物理的に取り除くことはできませんが、薬用ソープや次亜塩素酸溶液で洗浄すれば、

拭き掃除では届かない隙間にも浸透させることが可能です。

③やっつける

→ よく加熱して病原微生物をやっつけることが重要です。

前回の講義で説明したように、食品内に毒素を産生されてしまうとお手上げですが、

体内で増えるタイプの微生物であれば、加熱により体内に入る前にやっつけることが可能です。

 

以上をもちまして「食中毒とは」の全3回講義を終了いたします。

お付き合いいただきありがとうございました!